
12月6日(土)と7日(日)に開催された「チャンピオンズリーグ2026 愛知 Dec.」(以下「CL2026 愛知 Dec.」)の各リーグ優勝者にインタビューを実施しました。実際に使用されたデッキとあわせてご紹介します。
マスターリーグ優勝 シオカワ セイノスケ選手
――優勝おめでとうございます。決勝戦前には「ホルルル(「ポケモンワールドチャンピオンシップス2024」)の二の舞にならないように頑張ります」という言葉もありましたが、有言実行されましたね(笑)。今のお気持ちを聞かせてください。
本当に、最高の気分です。ポケモンワールドチャンピオンシップス(以下、「ポケモンWCS」)は決勝戦だけ別の日に行われることもあって、それまでの勢いがリセットされてしまうんですけど、チャンピオンズリーグでは気分がグッと上がった状態でそのまま決勝に挑めるので、集中力が研ぎ澄まされていました。
――今回はサーナイトexのデッキを使用されていました。デッキ選択の経緯を教えてください。
じつはいま、受験直前なので、ポケカの練習時間があまり取れていなかったんです。なので、もともと使い慣れていて自信のあるデッキを使おうと思っていました。今回でレギュレーションマークが「G」のカードをチャンピオンズリーグで使用できる最後の大会ということもあって、思い入れのあるサーナイトexを使いたいという思いもありました。

――デッキのこだわりポイントについても教えてください。
海外の大会で素晴らしい成績を収められていた方のレシピを参考に組んだので、オリジナルというわけではないのですが。たとえば、サーナイトexのデッキによく採用されているワザマシン エヴォリューションが入っていません。これは序盤にワザマシン エヴォリューションを使う展開だと、マシマシラにエネルギーをつけにくいというのがネックになると感じたからです。


――と、言いますと?
ワザマシン エヴォリューションを使うためにバトル場のポケモンにエネルギーをつける必要があります。それがマシマシラだとするとエネルギーのついたマシマシラが次の番にきぜつさせられてしまうことになりますし、マシマシラでない場合も結局はエネルギーをつけたマシマシラを場に残すことはできていません。マシマシラの特性「アドレナブレイン」を使えるようにしておくことを最優先したかったので、ワザマシン エヴォリューションは採用せずにふしぎなアメを多く採用する構築になっています。
――なるほど。ベンチのマシマシラにエネルギーをつけることが重要だということなんですね。ですが、キルリアが1枚のみの採用になっていることも相まって、ふしぎなアメ頼りだとスボミーのワザ「むずむずかふん」でグッズを使えなくなると困りそうな気がしてしまいます。
それは間違いないですね。ただ、僕はスボミーがワザ「むずむずかふん」を使ってくる主流なデッキは現環境だとドラパルトexのデッキくらいだと考えています。ドラパルトexに対しては、プルリルのワザ「うみのかげ」の20ダメージと相手のワザ「むずむずかふん」で受けた10ダメージを特性「アドレナブレイン」でダメカンをのせ返すことで、相手にもグッズを使わせないようにしながらスボミーをきぜつさせることができます。そうすればふしぎなアメが使えるようになりますし、そのままブルンゲルexで相手にグッズを使わせないようにしながら攻めることもできます。そうしたプランが用意できているので、問題ないと判断しています。


――ほかに、参考元のデッキレシピから変更しているところはありますか?
ラルトスが2枚だったところを3枚に増やしていたり、メガディアンシーexを新たに採用したり、勇気のおまもりを2枚採用したりとかですね。海外の大会は2本先取のルールなので「1本取られても大丈夫」という考え方ができますが、日本では1本先取なので負けられません。その差を考慮して、序盤に少し崩れてもゲームを長引かせて逆転ができるようなチューニングをしています。実際、勇気のおまもりを2枚入れていなければ決勝トーナメント1回戦目の試合で負けていたと思うので、いいカスタマイズができたなと思います。

――2日間を通して、もっとも活躍したカードは何でしたか?
フトゥー博士のシナリオですね。入れていなかったら負けたであろう対戦が3回はあったので、大活躍でした。これは参考元のデッキにもともと入っていたのですが、従来のサーナイトexにはあまり採用されないカードなので最初は懐疑的でした。でもチャンピオンズリーグのような大型大会では、あまりメジャーでないデッキと対戦することもありますし、メジャーなデッキのようで珍しいカードが1枚入っていて奇襲されることもあります。とくにイベルタルやマラカッチのような、相手のポケモンをにげられなくする効果のあるワザを持つポケモンが突然きたら困るので、その対策がデッキにあるというのは安心感が大きかったです。

――準々決勝で、勝負を決めた瞬間に感情が高ぶって吠え叫んだシーンが印象的でした。あのときはどのような心情だったのですか?
「ポケモンワールドチャンピオンシップス 2026」(以下、「ポケモンWCS2026」)の参加権利がかかった重要な試合だったわけですが、よりによってかなり不利な相手でした。正直なところ、自分の勝率は1割程度だと考えていました。その相手を制して権利を獲得できたのが嬉しくて、思わず声が出てしまいました。先ほども話したように受験が控えていることもあり悩んでいたところだったので、余計に嬉しい1勝でした。
――受験も世界大会も両立できそうでよかったです! それでは最後に「ポケモンWCS2026」に向けて意気込みをお願いします。
今回こそ、世界一になります!
シニアリーグDAY1優勝 タノウエ ケイト選手

――優勝おめでとうございます。今のお気持ちを聞かせてください。
いやもうすごく嬉しいです。シティリーグではシーズン1、シーズン2ともに結果が出せなかったので、ここで世界大会の権利を得られてホッとしています。
――今回のデッキを使用することに決めた経緯について教えてください。
環境上位のデッキに対して、もっとも安定して高い勝率を出せるデッキだと考えたからです。苦手とされているデッキに対しても構築次第で有利に戦えることが分かったので、「CL2026 愛知 Dec.」の抽選が始まる前にはもうデッキを決めていました。
――デッキのこだわりポイントについても教えてください。
ひとつは、レアコイルを採用しているところです。このデッキが負けるパターンとして多いのが、最初にワザ「バチュチャージ」でエネルギーをつけたポケモンがきぜつさせられた後にエネルギーがつけられなくなってしまうことです。そこをレアコイルの特性「かじょうほうでん」で補えるところを評価しています。

――もうひとつは何でしょう?
まけんきハチマキの採用です。現環境でもっとも使用率が高いと思っているのがサーフゴーexのデッキですが、ざっくりとしたサイドのとりかたとしては、相手が最初にバチュルをきぜつさせるのでサイドのとりかたは1枚、2枚、2枚になります。対してこちらがサイドを2枚、2枚ととっていくと、サイドの残り枚数が1枚に対して2枚になる場面があります。そこでガチグマ アカツキexを出してまけんきハチマキをつけると、ワザ「ブラッドムーン」でサーフゴーexを一撃できぜつさせられるようになります。このプランを採用してから、サーフゴーexのデッキに対しての勝率がグンと上がったと感じています。大会でもサーフゴーexのデッキとの対面は自信を持ってプレイできました。



ほかにもリザードンexのデッキと対戦した際、バチュルをきぜつさせられた次の番にテツノカイナexにまけんきハチマキをつけて、プライムキャッチャーでピジョットexをバトル場に出してワザ「ごっつあんプリファイ」できぜつさせるのも強い動きだと思います。


――具体的な場面がすらすらと出てきて、考察の深さが伺えます。ほかにも活躍したカードがあれば教えてください。
でんきだまもメチャクチャ強かったです。ピカチュウexが2進化のポケモンexやメガシンカexを何度も一撃できぜつさせてくれて、心強かったです。


――最後に、「ポケモンWCS2026」に向けて意気込みをお願いします。
ポケモンWCSは初参加なので緊張しますが、とりあえず決勝トーナメントに残ることを目標にしつつ、優勝を目指して頑張ります!
シニアリーグDAY2優勝 ミシマ リョウタ選手

――優勝おめでとうございます。今のお気持ちを聞かせてください。
言葉にできないほど嬉しいです。今まで支えてくれた友人や家族に感謝が尽きないです。
――使用したデッキと、デッキを決めた経緯を教えてください。
使ったのはリククラゲを採用したNのゾロアークexのデッキです。
デッキを決めた経緯としては、「CL2026 愛知 Dec.」の1週間前のシティリーグでサーナイトexのデッキを使用し負けてしまい、「CL2026 愛知 Dec.」には2進化のポケモンを中心にしたデッキは持っていけないなと思っていました。
そんな時、友人がNのゾロアークexのデッキリストをくれてこれで行くしかないと思いました。
――デッキの特徴・こだわりポイントを教えてください。
デッキの特徴として最近のNのゾロアークexのデッキに採用されていることが多いヒヒダルマを抜いてリククラゲを採用し、さらにファイヤーまで採用することでサーフゴーexのデッキに基本勝てるようにしていることです。
――今日の大会でもっとも活躍したカードを教えてください。また、どのような場面で活躍しましたか?
今回活躍したのはやはりリククラゲです。
サーフゴーexのデッキとの対面はもちろん、サーナイトexのデッキの対面でも一度きぜつさせたポケモンを相手がトラッシュから手札に加えることができずに勝った試合がありました。
またマキシマムベルトもとても強かったです。相手の2進化ポケモンをマキシマムベルト込みのワザ「ランページサンダー」できぜつさせたり、サーナイトexのデッキのメガディアンシーexをきぜつさせられることがとても強かったです。
――ポケモンWCS 2026に向けて意気込みをお願いします。
はじめてのポケモンWCSで英語もできないので不安ですがせっかく行くなら優勝を目指して頑張ります!
――そのほか、アピールしたいこと(記事に載せたい内容)があれば教えてください。
最後に、いつも練習してくれる横浜のみんな、リストくれてプレイを指導してくれた友人に感謝を伝えたいです。本当にありがとう
ジュニアリーグDAY1優勝 アナン ユウト選手

――優勝おめでとうございます。今のお気持ちを聞かせてください。
ありがとうございます。予選は6勝2敗だったのですが、運よく31位で本戦に上がれました。現地でたくさんの仲間たちに応援してもらえたので、それに応えることができてよかったです。
――今回のデッキを使用することに決めた経緯について教えてください。
大会の2週間前まではいろいろなデッキを試していたのですが、中でもバチュルを採用したミライドンexやテツノカイナexのデッキがいちばん勝てそうだと感じたので選びました。
(お父さん)以前にとある大会に参加した際に、友だちと「つぎのシーズンはバチュルのデッキが強いんじゃないか」と話していて、つぎの日にはデッキを組んで使い始めたのを覚えています。

――このデッキが勝てそうだと感じたのはどんな理由からなんでしょうか?
ジュニアリーグの環境だとリザードンexのデッキやマリィのオーロンゲexのデッキが数を増やしてきているので、バチュルのワザ「バチュチャージ」で草タイプのポケモンを育てて弱点をつけるところが強いと感じました。
――実際、DAY1はジュニア・シニアともに同系統のデッキが優勝(DAY2のジュニアも含めて3リーグで優勝)していますし、環境読みがズバリ当たっていたわけですね。アナン選手は「ポケモンジャパンチャンピオンシップス2025」でも優勝していますが、その時はドラパルトexのデッキを使われていて、ダメカンを乗せる戦いかたが得意だという話もされていました。環境に合わせて柔軟に使用するデッキを変更できるところが流石だなと感じます。
あのころはドラパルトexのデッキくらいしかうまく扱えなかったんです。でも「ポケモンWCS2025」が終わった後にリザードンexのデッキを練習し始めて、「チャンピオンズリーグ2026 横浜」でもリザードンexのデッキを使いました。それを機に、ドラパルトex以外のデッキもちゃんと使えるという自信がつきました。
――デッキのこだわりポイントについても教えてください。
アンフェアスタンプを採用しているところです。このデッキはワザが使える最初の番にワザ「バチュチャージ」を絶対に使いたいのですが、実際には使えない試合も少なくないです。なので、2回目の番にワザ「バチュチャージ」をしてもギリギリ間に合うようにアンフェアスタンプで時間を稼げるようにしています。実際、アンフェアスタンプを入れていたおかげで勝てた試合が何度かありました。

――狙い通りの活躍がされていて素晴らしいですね! ほかに、とくに活躍したカードはありましたか?
テツノツツミです。「ACE SPEC」のカードはプライムキャッチャーを採用するのが主流ですが、僕はアンフェアスタンプを採用したぶん相手のベンチポケモンを呼び出す手段が少なくなっています。そこを特性「ハイパーブロアー」で補えるのが強かったです。

――最後に、「ポケモンWCS2026」に向けて意気込みをお願いします。
「ポケモンWCS2025」は9位で終わってしまって悔しかったので、つぎこそ優勝したいです!
(お父さん)日に日に悔しさが増していってるよね。
大会の会場で流れていたBGMを聞くといまでも悔しさが込み上げてきてしまうので、聞かないようにしています(笑)。
――来年はお気に入りの曲としてリピートできるように応援しています!
ジュニアリーグDAY2優勝 イマイ タカオ選手

――優勝おめでとうございます。今のお気持ちを聞かせてください。
とっても嬉しいです! チャンピオンズリーグはいつも愛知で開催されるときだけ出場していて、最初は0勝3敗、2回目が5勝3敗で、今回が3回目でした。
(お父さん)家では私が練習相手として対戦をするのですが、最近は本当に強くなっていてぜんぜん勝てる気がしないほどだったんです。そういった実感もあって今回は勝てるんじゃないかと思いつつ参加したので、私も本当に嬉しく思っています。
――1回ごとの成績の上がり幅がとてつもないですね! どうしてそんなに強くなれたと思いますか?
毎週土日にジムバトルに出て、大人の人たちとも対戦しているので自然と強くなった気がします。いつもよくしてくれているTSUTAYA鈴鹿中央通店の店員さんや対戦してくれるプレイヤーの人たちに感謝を伝えたいです。
――今回のデッキを使用することに決めた経緯について教えてください。
以前にミライドンexのデッキをよく使っていて、バチュルが出てからはバチュルを採用したデッキもよく使っていました。とくに思い入れのあるミライドンexが今回の大会で最後になるというのも選んだ理由のひとつです。

――デッキのこだわりポイントについても教えてください。
ナンジャモが入っているところです。バチュルを使ったミライドンexやテツノカイナexのデッキにはあまり採用されないのですが、1枚入れていると終盤に相手の動きを止められるのでやっぱり強力でした。
――今日を通していちばん活躍したカードは何でしたか?
テツノイサハexです。メガアブソルexやマリィのオーロンゲexを何度も一撃できぜつさせてくれました。何度か対戦の最初にバトル場でスタートしてしまうこともありましたが、それを差し引いても大活躍でした。

――最後に、「ポケモンWCS2026」に向けて意気込みをお願いします。
絶対優勝したいです!
「CL2026 愛知 Dec.」は、2025年最後のチャンピオンズリーグであると同時に、スタンダードレギュレーションにおいてレギュレーションマーク「G」のカードが使用できる最後のチャンピオンズリーグでもありました。サーナイトexやリザードンex、サーフゴーexにテツノカイナexなど、これまで大会で大活躍してきたカードたちが、ひとつの区切りを迎えます。マスターリーグの決勝戦では、レギュレーションマーク「G」を代表するデッキのひとつであるサーナイトexのデッキと、新時代を象徴するメガシンカexを主体としたデッキが激突するマッチング。激戦の果てにサーナイトexが有終の美を飾る結果となりました。
次回の「チャンピオンズリーグ2026 福岡」は2026年2月21日(土)・22日(日)に開催されます。大きく変化する環境の中でどんなデッキが活躍するのか、どうぞお楽しみにお待ちください。